『鈴木先生』(漫画アクション連載から単行本化)で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したマンガ家、武富健治さんを特集した今月号の『詩と批評ユリイカ』(青土社)。巻頭の安彦良和さん(『宇宙戦艦ヤマト』や『勇者ライディーン』の制作に参加したあと『アリオン』『ナムジ』などを描いた大御所)との対談で、「一時期いわゆる写実的タッチを追求した時期もあったんです。写実的なタッチを追求する人って他にもいっぱいいましたが、彼らは揃いも揃ってどんどん色気のない淡々とした方向に写実を追求していったんですよね」「でも、三〇代になって、一〇代で活き活きと楽しくマンガを描いていた頃の絵柄に戻そうと思っていて、『鈴木先生』はその作業の一環でもありました」
と語っている部分など、武富さんの絵の背景にあるものがいくらか見えるようで興味深いです。あと、今回ぜひ読んでほしいのは今月号掲載の新作「雨月物語壱 白峯」。上田秋成の『雨月物語』をテーマにすること自体が目新しいといえば目新しいのですが、それより、登場する西行や崇徳上皇のセリフの切れ味、その基礎にある物語の読み込み。歴史をテーマにした近作で言えば、井上雄彦『バガボンド』(講談社)とはまた違った、緊張感を維持しながらの激しい展開。『雨月物語弐』がいまから楽しみでなりません。
もうひとつ、今月号から始まった連載、中村稔さんの「人生に関する断章」がすごくおもしろかった。今回は書について、作家・武田泰淳や詩人・中原中也の「書(書き文字)」に対する態度を、中村さんの実体験を交えながら分析、人間にとって「書(書き文字)」とは何かを探っていくもので、これも次回以降が楽しみです。
























