2月28日第一刷発行。岩波書店。寺山修司の秘書、良き相棒だった田中美知氏が編者。発見された創作ノートをもとに田中氏がまとめたという。奥付に「収録された寺山修司の全短歌は、田中美知氏に著作権があります。2005年、寺山修司著作権継承者九條今日子氏より承認」とある。田中美知という女がいて、九條今日子という女がいて、九條が田中に著作権を認め、歌人でない田中が直接編輯して・・・その経緯は外部からは見えないけれども、寺山修司という存在の特異さが纏わりつくような制作の流れであり、その混沌とした人間たちの生き様が滲み出すような一冊に仕上がっている。 内容に関して、巻末の「解説」に歌人の佐佐木幸綱氏が書いている。
「岩波書店から話があり、期待して『未発表短歌』の原稿を読んだ。最初の感想は、期待通りの印象と期待が裏切られた印象が半々あるというのが、正直なところだった。率直に言って、既視感のある寺山ボキャブラリーでおおわれている感じである。まぎれもなく寺山修司だという確かな手触りと、既刊歌集で類歌・類想歌を見た記憶がある作が相当交ざっているという失望半々と言い換えてもいい」
愛情と距離感、誇りといった複雑な感情と感動をひとまとめにした、的を得た一言のように感じられる。
「栞(しおり)」として付された佐佐木幸綱氏と寺山修司の対談(『週刊読書人』1976年11月1日掲載の記事を再録したもの)と併せて、じっくり味わいたい、そしてこれを機に寺山の偉業をあらためて見つめ直したい、重い一冊だ。ちなみに、青森県美術館では今年4月から「寺山修司劇場美術館」展が開催される。





















