『サライ』4月3日号(小学館)の特集は「『D坂の殺人事件』から『点と線』まで 追跡。日本の名作ミステリー」。東京下町・備中・諏訪と、江戸川乱歩・横溝正史の描いた「名探偵」ゆかりの土地を訪ねたり、小倉・金沢・能登と、松本清張作品をテーマに昭和30年代を追体験したり、テーマは『東京人』(都市出版)あたりが得意とする定番ものだが、さすが小学館の看板雑誌の一つだけあって、読者層をしっかり見据えた丁寧な調査取材が誌面に反映されている。老壮年層だけでなく、若年層にとっても十分興味深い内容だ。文芸評論家の川本三郎さんが昨年秋に『ミステリと東京』(平凡社)を上梓され、文学をキーワードにした江戸歩きが、落語ブームとあいまって静かなブームを呼んでいる。2016年の東京オリンピック誘致に向けてアピール活動が活発になってきているが、仮に誘致できたとしても、昭和の東京オリンピックのように歴史ある町並みをまるごと破壊して時代にキャッチアップするような愚行だけは繰り返すまい。欧米の影響を受け入れながら、日本固有の伝統と歴史をも同時に育んできた東京の街並み(もうすっかり薄れてしまってはいるが・・・)の奥深さをあらためて確認する意味で、江戸歩きブームは歓迎すべきものだ。
『サライ』本号の書評ページでも紹介されている、『東京サイハテ観光』(交通新聞社)のような良質な「東京発見本」がいくつも刊行されているので、お時間のある方はぜひ書店で探してみてほしい。ガイドや関連本をめくりながら、休日の予定を立ててみるだけでもけっこう楽しめる。たとえ仕事や用事で実現しなくても、だ。(出版WEB担当)





















