(ジャイブ・ピュアフル文庫、693円・税込) 数十年も前に、すでにこんな凄いファンタジーが書かれていたのか! この作品を小学生のころに読んだという作家の三浦しをんさんは、宣伝オビに次のように書いている。「私にとって、生まれてはじめて味わった、『魂の食べ物』だった」。最後まで読んでみて、三浦しをんさんがそう書いた気持ちがとても分かる気がした。この物語を子どもの頃に読んでいたならば、と、本当に残念に思った。同時に、いま出会えて良かった、手遅れにならなくてよかった、とも思った。
雨の日の教室、大家さんに借りる黒電話、どことなく大人びていたクラスの女の子。郷愁を誘う物語の舞台、町中が飲み込まれていく闇の力に立ち向かっていく凛々しい少女と巻き込まれながらも踏ん張りを見せる少年。クラスメートが化け物に見えたことから始まる幾つもの謎。唯一の武器である光車とは何か? 少女の正体はただのクラスメートなのか? 闇の力とは何か?
謎がどんどん膨れ上がりながら疾走する物語は、年端もいかない少年少女たちが主役でありながら、単純な善悪二元論の世界に陥らず、読むものを最後まで掴んで離さない。私たちの日常が続く限り、暗い闇の世界も続き、そして戦いも終わらない。いまもどこかで彼らは戦っているのではないか・・・そんな余韻が残る、珠玉のファンタジーだ。(小石川店・川村)





















