(魚柄仁之助著、サンガ、1600円+税)「もどき」歴30年の大ベテラン魚柄仁之助が指南する「なんちゃって料理」9品−−。11月17日発売の週刊現代(11月29日号)に、こんなグラビアページが掲載された。偽装からすみ、ニセふぐ刺し、偽装フォアグラ・・・。一見しただけでは本物としか思えないニセモノ料理9品が掲載されている。記事のタイトルにもあるように、ニセモノ食品作り歴30年、「もはや『もどきプロ』と呼ばれております」という魚柄さんは、大正7年創業の料理屋に生まれた食文化研究家。週刊現代でもチラリと触れられているが、魚柄さんが「30年のテクニックを初めて集中公開」したのが、本書『明るい食品偽装入門』である。
「昨今、食品偽装→悪者といった犯人探しにマスコミはやっきになっておるようです。そりゃ、イカンことだわな。だが、家庭の台所であの手この手を駆使すれば、いわゆる『本物』でなくても、『えっ!!』とのけぞるくらいの美味を安くゲットできるのです」
こうした魚柄さんの茶目っ気と、自称「もどき食品作りの鬼」ぶりがいかんなく発揮された本書では、「鶏カワ飯」「ゴボウで蒲焼き」「マツダケごはん」などニセモノ料理31品を紹介。料理名を見ただけで好奇心をかき立てられるが、各品に添えられた魚柄さんのエッセイも愉快かつ含蓄のある内容である。
「見た目はかなり似かよっているキャビアととんぶりですから、これを見て『偽装しよう』と思わない人は、よっぽどの善人か商売気の無いお人であろう」という一文で始まる「とんぶりキャビア」は、魚柄さんの「食品偽装人生」の原点となった作品。大学の畜産科で「イイカゲン学生」だった著者が、大学で「赤身肉と白身の脂肪、そして再び赤身のサンドイッチ肉を冷凍にしてスライスすれば、焼き肉やすき焼き用の三枚肉が作れる!!−−と教わった時、メラメラッと偽装魂が目覚めたのでした」という「霜降り牛肉」は、25年もの月日をかけて完成させた一品だという。
本書を読んでいて、バブル崩壊後の1990年代前半、あり合わせの材料で安く簡単に美味しく料理を作る「セイシュンの食卓」という人気バラエティ番組(宮崎県知事の東国原英夫氏が司会)を思い出した。お金はないがお腹いっぱい食べたいという10-20代の若者世代とって、そこで紹介される品々はいかにも食欲をそそるものだった。
が、同じ不況下といえど、高級料理や食材のお取り寄せが流行るいまの時代、単に安く簡単に美味しく作れるだけでは物足りない。その点、偽装とはいえ、食材を活かして旨味を引き出す魚柄さんの料理は本格派である。不景気だからと言って、食費を切り詰めてばかりでは食卓も暗くなるというものだ。たまには家族や友達と、こうした「明るい偽装」を楽しんでみてはいかがだろうか。(出版WEB担当・湯田)





















