5月31日(日曜日)は書評掲載日。新聞広告を読む前に、朝日新聞にとても興味深い書評が掲載されていますので、ご紹介しておきます。『日本初の海外観光旅行』(小林健、春風社)。3,360円(税込)と値段はちょっと高めの設定なのですが、読んだらたぶん「目からウロコ」だと思います。杉村楚人冠という名前を聞いて、どんな人物かすぐに思い出せる方は玄人。楚人冠は元朝日新聞記者で、『日刊アサヒグラフ』(のちに週刊化)の創刊責任者にして、「天声人語」の名付け親。日本新聞史上に偉大なる足跡を残した人です。
同書『日本初の・・・』は、その楚人冠が明治41年に企画、敢行した、民間初の海外観光旅行をテーマにしています。楚人冠は当時の資料をおそろしいほど丁寧に、詳細に、時系列をふまえて保管していました。著者である明海大学の小林健教授は、楚人冠の書斎に残されたそれら膨大な資料を参考に、当時の様子を事細かに再現しています。
ちなみに、楚人冠の書斎や彼が愛したツバキの咲き誇る庭園(その広大な敷地を楚人冠は「白馬城」と呼んでいました)は、千葉県我孫子市にいまも残っており、市による補修工事などを経て近い将来に一般公開される予定です。
さて、注目の新聞広告ですが、まずは二面全五段、飛鳥新社さんの『たちまちわかる最新時事解説』シリーズ。「新書よりわかりやすいブックレットサイズがこれからのスタンダード」とあるように、新書をあらたに創刊するかわりに立ち上げたのがこのシリーズのようです。価格はどれも750円と、他社の新書より数十円ほど高め。
『食卓からマグロが消える日』(良永知義)は類書が最近たくさん出ています。同じ新書でも、講談社現代新書から「サバがトロより高くなる日」(井田徹治)があります。日常生活に近いテーマということもあり、魚事情にかんする本の読者からのニーズは高いようです。じっさい、「サバが・・・」は本当におもしろい本でした。ぜひ読み比べてみてください。
『エネルギー革命メタンハイドレート』(松本良)はぜひ注目。メタンハイドレート(=地下の砂泥層に含まれるシャーベット状の天然ガス資源)の開発、商業化に向けて世界中で研究が進められていますが、日本は間違いなくその最先端にいます。日本がメタンハイドレートの生産によって資源大国になれるかどうかは別として、炭化水素資源を将来にわたって確保するために避けて通れないのがこのメタンハイドレートの研究。著者の松本良・東京大学教授は、国内のメタンハイドレート研究開発の第一人者であり、現場によく足を運び実情をよく知る「ホンモノ」です。
『日本人を直撃する大恐慌』(朝倉慶)、6月18日に緊急出版される『民主党政権は日本をどう変えるのか』(上杉隆)は、どちらも時事もの。上杉隆さんの執筆する政治ルポは、『官邸崩壊』(新潮社)をはじめとしていつも売れ行き好調。政治モノはあまり売れない、というのが業界内の見方ですが、それをくつがえしてのベストセラーですから、玄人をも唸らせるなにかがあるようです。いまのところ8月末に解散総選挙があるとみられていますが・・・政権交代があれば、この本も売れることでしょう。
飛鳥新社さんのこのシリーズは、売れ筋狙いばかりかというとそうでもなく、テーマも一般になじみやすいものだけかと言われるとそうでもなく、かなり教養色が強い感じがします。岩波新書の社会派路線が着実に読者を増やしているようですから、そういう重いテーマを「たちまちわかる」ようにするのが狙いなのかもしれません。「家族で読める」が飛鳥新社さんの売り文句。ぜひ読者の方々のご感想をお聞かせ願いたく思います。





















