9月21日に88歳で死去した作家・庄野潤三さんに続き、人文学分野の発展に大きな貢献を果たした知識人がこの世を去りました。霜山徳璽さん、90歳。ヴィクトル・フランクルの名著『夜と霧』(みすず書房、現在は改訂版を訳出した『新版』もあり)の翻訳者です。原題は『強制収容所における一心理学者の体験』。フランクルがユダヤ人として自らの強制収容所体験をつづった作品を、霜山さんは分かりやすいが、しかし情熱的な言葉で置き換え、わたしたちに伝えてくれました。
「この本は冷静な心理学者の眼でみられた、限界状況における人間の姿の記録である。そしてそこには、人間の精神の高さと人間の善意への限りない信仰があふれている。だがまたそれは、まだ生々しい現代史の断面であり、政治や戦争の病誌である。そしてこの病誌はまた別な形で繰り返されないと誰がいえよう」(「訳者あとがき」より)。
霜山さんの信念はこれからも『夜と霧』という翻訳作品を通じて受け継がれていくでしょうし、受け継いでいかねばなりません。まだ読まれていない方は、ぜひ一度、秋の夜長にどうぞ。(K)





















