麻雀が人生の比喩なのではない、人生が麻雀の比喩なのだ

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img_makenai_sakurai.gif「20年間無敗、伝説の代打ち(=大金の賭けられた麻雀で賭博の当事者に代わって麻雀を打つプロのこと)」雀鬼会代表・桜井章一さんの著書『人を見抜く技術』『負けない技術』(ともに880円、講談社+α新書)が売れに売れています。講談社によると、前者は15万部、後者は発売2週間で5万部を突破したそうです。

麻雀人口は飲酒人口とともに年々減少していると言われるのに、どうしてこれほどに麻雀プロの処世術が広く読まれるのでしょうか。読者の多くは少なくとも麻雀をかじったことのある方々なのでしょう。が、おそらく桜井章一さんのこの二冊の著書に読者が求めているのは、「どうしたら麻雀に勝てるようになるのか」ではなく、「どうしたら人生に勝てるようになるのか」という問いの答えなのです。

img_minuku_sakurai.jpg「勝つことの引力に魂を縛られた現代人。『敗者』の99%は自滅だ!」と、講談社の新聞広告に印象的な一言が引用されているように、麻雀に言えることは人生にも同じように言えることが多いということなのでしょう。人生訓やことわざには、将棋や囲碁を引き合いに出して語られるものも多いのですが、麻雀は同じ知的遊戯でありながら、人間それぞれの生き方、人生そのものがより反映されやすい知的遊戯と言えます。というのも、将棋や囲碁はまったく同じ駒数、布陣から勝負が始まるという大前提において、機会の平等が確保されているフェアな遊戯ですが、麻雀は「配牌」といって、勝負の始まる時点で手持ちの牌、陣容に大きな格差が存在するのです。人生において勝負に出なければいけない瞬間が何度かあるとして、その勝負に参加する人間それぞれが拠って立つ条件は相当に異なります。そういう人間を取り囲む現実、環境、条件の不平等さを、麻雀はあらかじめ取り込んだ遊戯なのです。

そういった不平等な勝負にどう勝つのか、どう負けないのか、あるいは勝負するのか、しないのか。桜井章一さんはそういう「考え方」を著書でわれわれに示してくれているのだと思います。折りしも、麻雀や賭博をテーマに『アカギ』『カイジ』などヒット作を生み出してきた漫画家・福本伸行さんの『人生を逆転する名言集』(竹書房)も今週のベストセラー入りを果たしています。先行きの見えない時代の羅針盤として、心理学者や社会学者、宗教学者といった学問の専門家と並んで、新たに賭博の専門家である雀士が注目されているということの意味も考えさせられます。(K)

 

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