
担当者の事情により、長らく新刊情報をご提供できませんでした。心よりお詫び申し上げます。あらためて、本日より新刊紹介を再開させていただきます。なお、雑誌の新刊情報については短文投稿サイト「Twitter(ツイッター)」の各店舗アカウントから随時発信させていただいておりますので、そちらをご覧下さい。さて、今日ご紹介するのは石井光太『遺体』(新潮社)。オビに「遺体安置所をめぐる極限状態に迫る、壮絶なるルポルタージュ」と説明があります。死体と向き合ったときの、言葉では容易に表現できないような恐怖、悲哀、狂気、嫌悪、思考停止...は、人間の多くが「死」という現実から目を背けて生きていることの証し。本書『遺体』は、死体と向き合ったそうした多様な人間の姿や心を、いま手元にあるできるだけの言葉で写し取った本です。
「三月十一日以降、釜石のマチはどこまでも瓦礫がつみ重なる廃墟となり、ヘドロを被った死屍が累々と横たわっていた。民家に頭をつっこんで死んでいる女性、電信柱にしがみつきながら死後硬直している男性、尖った材が顔に突き刺さったまま仰向けになって転っている老人。風の強い日も、雪の降りつもる日も、遺体は何日間も静かに同じ場所でかたまったままだった。こうした被災地から一体ずつ拾い上げ、ダンプカーの荷台に載せては旧二中の安置所へ運んでいた人物がいる。松岡公浩、四十六歳だ。」
デリカシーのない表現だと思われるかもしれませんが、震災とは、津波とは、被災地とは、死とは、恐怖とは、こういう側面を持っているのだと思います。いまは読む気になれない、という方には無理におすすめしませんが、被災地に行かれたことがなくて、まだ地震と津波の実感がわかないという方は、せめて本書を一度読んでください。





















