
豆苗が好きでよく食べます。四角に固まった根っこの部分を、いつもは捨てていたのですが、この前なんとなく水につけておきました。1日で新しい芽が出て、10日ほど経った
いまではもう20センチの高さにぐわっと伸びています。
そんな植物の驚異的な生命力を目の当たりにしつつ読んだ、安部公房の『カンガルー・ノート』(新潮文庫)。脛にかいわれ大根が生えた男の話です。治療として唯一望みをかけた温泉療法を試すべく、自走するベッドにくくりつけられて、硫黄温泉へと送りだされた主人公。
ふさふさとかいわれ大根が触れ合う、こそばゆい感じにぞぞっとなったり、腋の汗をぬぐった手でちぎって食べる味を想像したりと、はじめはシュールな喜劇として読んでいたのですが・・・。
他人の夢を覗き見ているかのような、こちらの想像力をふり切る摩訶不思議な描写と展開。さらに、そこはかとなく漂う死の匂い。
緑が濃く生い茂る季節に、奇妙で新鮮な読書体験となりました。(早稲田店・佐々木)
ISBN:978-4101121246、刊行日:1997/2、定価420円(税込)





















