
いま手元に一冊のマンガがあります。豊田徹也さんの「アンダーカレント」(講談社)。僕の大好きな本。今回は、この話をしてみようと思います。
銭湯を経営する夫婦の、夫がある日突然失踪してしまう。理由がまったくわからない妻は探偵を雇い、探すことにするのだが・・・という物語。とにかく、全体の雰囲気がよい。ゆっくりと、でも確実に進む、力強い物語の推進力。緻密な細部の構成。ちょっとしたユーモア。なにより女主人公の、地に足がついていないような、フワフワとした感じと不安、とらえどころのない現実の持つ、非現実感(?、でも現実って以外とそうですよね)がリアルで素晴らしいです。
「アンダーカレント」というと、もう一つ、名作が。ビル・エヴァンスとジム・ホールのジャズアルバム「アンダーカレント」。とにかくジャケットがすばらしい。水の中に浮かんでいる女性の写真。表情は見えない。非常に抽象的でミステリアス。豊田徹也さんが、このアルバムを聞いたのかどうか、僕にはわかりません。でも、僕はこのマンガを、このジャケットの女性の物語として、いつも読んでいます。勝手に想像をふくらませて読むことも、楽しい本の読み方の一つ。で、きっとそれも「正しい」読書の作法ではないかなと・・・。
みなさまも蒸し暑い夜に、クーラーの効いた部屋などで試してみてください。オススメです。それにしても、あの女性は、どんな表情をしていたんだろう? みなさまは、あの写真にどんな物語をつけますか?(仙台店・藤本)
ISBN:978-4063720921、刊行日:2005/11、定価980円(税込)





















